Q20.
来年、20年の借地期間が満了することとなりました。息子が結婚したので、借地上に息子夫婦用の新居を建てるため、借地人に立ち退いてもらいたいと思っています。借地権価格相当額の立退き料を支払っても良いと考えていますが、この場合、借地権の更新拒絶が認められるでしょうか?
A.
借地権の更新拒絶が認められるためには、期間満了後の借地人の借地継続使用に対し、遅滞なく異議を述べることの他に「正当事由」が必要です。
具体的な正当事由の判断要素は下記のとうりです
- 地主および借地人が土地の使用を必要とする事情
地主側の土地使用の必要性が高く、借地人側の土地使用の必要性が低い場合には、正当事由が認められ、更新拒絶できると考えられます。 これに対して、借地人側が土地上の建物を住居や営業用の店舗として恒常的に使用している場合には、立退き料の申出をしても、正当事由が認められる可能性は低く、更新拒絶は認められないと考えられます。 - 借地に関する従前の事情
更新料や権利金等が支払われていたか、借主が地代を滞納していなかったか等の事情が問題となります。 - 土地の利用状況
借地人がどのような建物を建て、その土地をどのように利用しているかが考慮されます。 - 地主による財産上の給付の申出
いわゆる立退き料や代替土地・建物の提供であり、この財産上の給付は、主たる正当事由が認められない場合に、それを補完する要素として考慮されます。
以上の点を総合的に考慮し判断する必要があります。
本件では、その他の事情は不明ですが、息子夫婦に他に居住する場所がないとか、両親の介護の必要がある等の事情が加わり、地主側の土地使用の必要性が高い反面、借地人側があまり土地上の建物に居住していない等、借地人側の土地利用の必要性が低い場合には、正当事由が認められ、更新拒絶できると考えられます。
これに対して、「息子夫婦に新居を与えるため」という地主側の事情がそれ程高いものではないことから、借地人側が、土地上の建物を住居や営業用の店舗として恒常的に使用している場合には、立退き料の申出をしても、正当事由が認められる可能性は低いものと考えられます。