Q16.
50年前、借地人に堅固建物を建てることに合意の上、当初の借地期間を定めずに土地を貸しました。現在、借地人が建てた堅固建物が築50年を経過して、朽廃状態です。
あまりにひどく、傍目に悪いので、借地権を消滅させてしまいたいのですが・・・
A.
「朽廃」という曖昧な概念により、借地関係の消滅という重要な問題を解決すべきではないとの理由から、現行の借地借家法下においては、朽廃による借地権の消滅制度はなくなりました。
しかし、この場合のように旧法借地においては、以下の場合には、借地上の建物朽廃は借地権の消滅事由となります。
当初の契約で期限の定めのない借地権が設定され、法定の期間である60年(堅固建物の場合)、または30年(非堅固建物の場合)の期間満了前に建物が朽廃した場合(旧借地法2条1項ただし書)。
よって、当初の借地期間を定めずに土地を貸し、堅固建物で、50年経過(法定の期間である60年の期間満了前)後に建物が朽廃しているとの事ですので、借地権消滅請求を法律上主張できます。
しかし、最初の借地契約で、60年の借地期間を合意した場合だとすると、借地人が建てた堅固建物が築50年を経過して朽廃状態であっても地主は朽廃を理由に借地権の消滅を主張することはできません。
借地権の解除や消滅はケースバイケースですので専門家へのご相談をお勧めします。