競売との違い
自宅を売却して債務の弁済に当てるという行為的には同じでも、任意売却と競売との最大の違いはそのプロセスの違いにあります。
裁判所主導で行われる競売では債務者の協力があろうとなかろうと時間の経過とともに着々と作業は進んでいくため、利害関係人すべてにとって非常に安楽な方法です。債務者がまったく協力しなくても、行方知れずの場合でも売却され、代金は債務の弁済に供されます。
よく勘違いされるのですがたとえ競売であっても、残債務が消えてなくなることはありません。売却によって充当されなかった残りの債務については別途請求されることになります。もし一定の収入や預金があれば債務者本人はもちろん連帯保証人でも差し押さえられる可能性があります。よく「金銭債権は5年で時効だから、5年間逃げればチャラになる」などといわれますが、5年間逃げとおす労苦に比べれば任意売却で本質的な解決に踏み出すほうがどれほど良いでしょう。
任意売却に関しては様々な事情があってのことですから誠実に話せば金融機関も協議に応じていただけます。 当然競売よりも高額で売却する事で債務を圧縮できるのが第一のメリットですが、むしろ債務を返済するために前向きな誠意を見せることにより、すべてを話し合いで解決することが出来るため、逃げることなく、つまりはご自身の将来の為でもあるのです。
競売開始決定通知が来ている場合
担保不動産競売開始決定通知とは債権者が競売の申立てを裁判所へ申請し、その申出が適法と認められると、裁判所は目的の不動産を差押え、競売開始を決定し通知します。 つまり競売の手続きが始まったことの通知です。
一般的にこの通知が来るとまもなく執行官が現地を調査に来ます。そして建物外部はもちろん内部も写真を撮ってゆきます。これを拒むことは出来ません。概して執行官は柔和で同情的に接してくれるため、つい「案外相談にのってくれるのでは?」などという気になります。しかし留守にしていても開錠され強制的に執行されます。 その後2、3ヶ月はなんの連絡もなくなります。ひょっとしてこのまま住んでいても大丈夫なのでは?と思った頃に裁判所から再び期間入札の通知がきて慌てる事になります。
このプロセスは通常6ヶ月程度ですが、最近では競売のスピード化が計られており、一概には言えません。 競売開始決定通知がきても任意売却に切り替えることは出来ます。ただし、時間の経過とともに現地調査、手続きなど費用も発生するため競売を取り下げてもらえる可能性も低くなります。任意売却のためには出来るだけ早期に意思表示をする必要があります。