借地権と底地の問題解決
Sさんは40年前に当地に嫁いでこられました。ある地方の城下町で昔ながらの古い気質が色濃く残る町で、人々の絆が深い分、些細なことでいさかいも絶えない土地柄だと仰います。 Sさんの自宅は土地は借地で建物がご主人名義の長屋で4軒が向き合う形で計8軒建っており、8世帯14人が暮らしています。昔は真ん中に共同の井戸や、物干し場があり皆が仲良く譲り合って暮らしていたようですが今では皆が反目し合い非常に険悪になってしまっていました。
そんなある日、地主が亡くなり遠方に住む相続人の代表者から8世帯の借地人全員のもとへ通知が来たのです。そこには土地を業者に売却するので、次回以後地代はその業者に支払うようにと言う内容のことが書かれていました。変な業者に売却されてしまっては大変と、あわててSさんは相談に来られました。
弊社にて地主の相続人に連絡を取らせていただき、経過をお尋ねしたところ、そこの借地人はトラブルが多く先代もかなり苦労したこと等々その経緯をお聞きしました。さらに財産価値も無くだれも相続して管理したくないのでやむを得ず真っ先に処分することになったと打ち明けてくださりました。
底地を専門に買い取る業者は相場の1から2割で買い取り、転売して利益をあげることが多いようですがそれでもかまわないと思わせしめてしまった借地人にも非があることは否めません。
弊社ではSさんから委任をいただいていることをお話し、業者との正式契約を1ヶ月待っていただくと共にまず借地人への売却を考えていただく同意をいただきました。
仲の悪かった借地人同士も事の重大さを前にこのときばかりは一時休戦を強いられたようで、Sさんの呼びかけの下、何度も集まっていただきその都度事情を説明しました。境界線のこと、昔ながらの埋設管のこと、その他様々ないさかいの原因になっていた事柄を整理していき、全員が地主から底地を買い取ることで意見がまとまりました。
相続人にとっても底地業者より倍以上の金額で売却可能とあって、喜んで契約に応じていただきました。
その間弊社では測量、権利関係調査、コンサルタント業務にて土地家屋調査士、行政書士、司法書士と連携し交渉や取引が滞りなく進むためにサポートをさせていただき、トータルで3ヶ月という短期間ですべて解決に至りました。
結果これまで何かと争いの種になっていた事がすべてすっきり解決し、隣人同士の切れた絆が回復し、ようやくこれで安心できるマイホームになったとSさんは喜んでおられます。